


















中川政七商店 福岡天神店
所在地 :福岡県福岡市用 途 :物販店
面 積 :300.08㎡(90.77坪)
竣 工 :2025年
Photo by Sohei Oya / Nacasa&Partners Inc
「日本の工芸を元気にする」を理念に掲げ、工芸業界を牽引する中川政七商店の九州旗艦店の空間デザインである
3年前に内装リニューアルのご相談をいただき、ブランドの世界感を再構築することを念頭にプロジェクトがスタートした。
新たなプロトタイプの完成から1年間で数店舗のオープンを経て、その都度ブラッシュアップを重ね、クォリティーを高めていった。
※プロトタイプについては中日ビル店参照
このプロトタイプを軸にその発展形を目指したのが九州旗艦店である。
ゾーニングは面積の広さで単調になりがちな空間構成を解決することを意識した。プロダクトや服飾を選んでもらうベースとなるゾーンに、生活のシーンをイメージしたスペースや九州の工芸を体感できるスペースを繋げ、中間領域である『間』を意識してもらえるようにした。
また一体感を感じさせつつ別のゾーンへ誘うような視点の変化を工夫し、長居してしまう心理を促した。
更にプロトライプで培った世界感と旗艦店ならではの空間構成に、九州各地の風土や工芸技術に由来するマテリアルを接続させた。
長崎県の諫早石の壁面、波佐見焼の陶片を削り出した腰壁、福岡県の八女提灯をもとにデザインしたペンダントライトなど、店内全体で九州の工芸の魅力を感じられるようにした。
この空間で感じたエモーショナルな体感、記憶が日常生活に緩やかに落とし込まれ、生活がより豊かになる足掛かりとなることを切に願っている。
プロトタイプから旗艦店へ繋げていく取り組みの中で、日本のコンテクストを汲み取り、空気の創造にリアリスティックに臨むモノづくりを経験でき、デザイナーとして今後の創造の手がかりとして大きな財産となるプロジェクトであった。